大変お恥ずかしい話ですが、発刊から33年経過して初めて「めぞん一刻」を読みました。理由はコロナ禍です。今から約4年前はコロナ禍真っ最中のひきこもりムードでした。旧作アニメを散策していて「めぞん一刻」というタイトルが気になり、即日コミック全巻を購入し、結果一気読みでした。
一言でいえば恋愛漫画です。どうみても恋愛漫画なのですが、なんだろう、不器用で優柔不断な主人公のなんともいえないキャラクターが誰もがうらやむ美人女性に恋するストーリーは男性であればだれでも応援体制に入ってしまうのです。
そうです。これは純文学に匹敵するような保守的でデリケートな恋愛観満載の漫画なのでした。読み終わって更にアニメも全編視聴してしまったほど入り込んでしまったのです。
正直、時代錯誤の作品
しかし、昭和野郎には何もかもが懐かしくてストーリーもさることながら描かれているサブカル物品に感動しながら、笑いあり、涙ありのストーリーにほっこりとやさしく引き込まれてしまったのです。
ホント。なにを今更、という感じ。
『めぞん一刻』は高橋留美子による日本の漫画作品で、1980年から1987年にかけて『週刊少年サンデー』で連載されたということですが、もちろんリアルタイムでは読んでいませんでした。
簡単なあらすじ
主人公の五代裕作(ごだい ゆうさく)は大学受験に失敗し、東京で下宿先を探しているところ、ひょんなことから老朽化したアパート「一刻館」に住むことになった。
ヒロインは一刻館の管理人の娘で、19歳の美少女・音無響子(おとなし きょうこ)。彼女はおしとやかそうな反面、とても嫉妬深く感情的な女性。管理能力は万能で、料理上手という清楚で完璧な女性なのですが、なぜか住み込み管理人というカタチで一刻館に住んでいる。
個性的な住民(ここが肝。詳細は割愛)が多く、一刻館での生活は様々なトラブルや笑いが絶えない。五代は響子に恋心を抱きつつも、大学受験や就職活動、他の住民との交流などを通じて成長していく。五大は優柔不断で意志も弱い?
しかし、五代と響子の関係は徐々に深まり、最終的には五代の成長と響子との関係の行方が物語の中心となる。
感 想
何といってもキャラクターの魅力が凄いです。五代のドジさ加減や、響子の生真面目さという設定がユニークで、コメディとロマンスのバランスが絶妙です。
個性豊かなキャラクターたちが、五代の恋心を試す形で読者を引き込む要素になっているんです。大学合格、就職、恋愛などの青春のリアルな悩みが描かれながらも、響子という縁の下的な存在が大きく、そしてファンタジー要素を加え、現実と非現実の境界を楽しく描き出しています。
この五代の成長がまるで自分のように感じられ見ていて気持ちいい。失敗を重ねながらも最終的に自分の道を見つけ出す彼の姿は、多くの読者に共感と勇気を与えたのだろうな、と思います。響子は一見理想的な女性に見えますが、彼女の抱える過去や孤独感、そして五代との関係性を通じて、彼女自身の人間性や心情が徐々に明らかになり、深い感動を呼ぶエンディングにつながります。
エンディングがまた保守的な王道。最終回の展開は読者を更に熱くさせて驚かせつつも、物語全体のテーマに沿った感動的な結末で、長い連載の締めくくりとしてキチンと腑に落ちた感じでした。これは多くのファンに魅了されて愛されるだろう的な終わり方てしたね。
最近はどうもこの昭和牧歌的な恋愛映画やドラマに飢えていたのだと感じました。とにかく、読後感が爽やかで心温まる作品と言えます。ぜひ読んでみて、魂が振動したらアニメも観てみてください(笑)
ヘンなひねりの無い王道の純愛ストーリーは案外、強烈です。