整体のベースは中国の「推拿」にあると思っている。
推拿療法とは、中国伝統医学による整体術だ。中国各地の中医薬病院に「推拿科」が設置される程一般的な治療法として認知されている手技療法。
三千年以上もの歴史があり、鍼灸や中薬(漢方薬)と並ぶ治療法のひとつで、整形外科的疾患だけでなく内科、婦人科、小児科等の治療にも応用されている。
リハビリテーションの分野でも目覚ましい効果を発揮していて、西洋医学では対応が難しいとされる難病、また原因不明と言われる「痛み」「しびれ」「神経系統」の障害などにも推拿を用いているのは事実。
昔、整体の源流を学びたい一心で直接中国へ出向いて学んできた。あの目の前で見た手技のパワーと手際の良さは忘れられない。それと同時に上海気功科学研究所での気功施術も驚いた。
気功の怪しさは拭えなかったが、目の前の光景と自身への施術を通して180度考え方が変わってしまった。
体験して、衝撃の連続だった。あれからすでに30年位経っている。
今の自分の施術の原点は、この推拿療法にあるといっても良い。「推す」ということと、とらえる、つかまえるという意の「拿」
この「拿」が施術にとっては特に重要だ。そして中国療法の基礎である「経絡」経絡とは、気や血の通り道。生命活動を維持するために全身を縦横に張り巡らされている。これによって全身に気や血が私たちの体の隅々まで送られているという考え方だ。
体の深い部分にある臓腑から、体表部の皮膚や筋肉までをつないでいて、気や血が巡ることによって、生体機能全体を調整してバランスを保っているというイメージを持って施術にあたっていくのと、全体を全く意識しないで施術していくのとでは雲泥の差があるように感じる。
クライアントと自分の施術の関係性だけでなく、空間、あるいは環境全体も施術に関わっていくという思いが日増しに強くなってきた。
空間全体で今日もクライアントをお迎えしたい。